α-シヌクレイン はタンパク質の一種で パーキンソン病の原因とされています。
その分子の運動が パーキンソン病発症のカギとなる「アミロイド線維」という異常な塊を作り出す原因となることを突き止められました。

α-シヌクレイン の運動

α-シヌクレインの運動を 分子レベルで調べたところ、
線維状の集合は、このタンパク質の折れ曲がり運動と
内部の局所的運動が同時に起こることで もたらされることを世界で初めて発見しました。

α-シヌクレインは、主に成熟神経細胞のシナプス前終末に局在する 14-19kDa のリン酸化タンパク質で、
シナプス機能の調節や可塑性に関与します。

α-シヌクレイン とは

■ α-シヌクレインの機能

α-シヌクレインの ミスセンス変異は、家族性パーキンソン病の原因として 同定されています。

レビー小体は、主に凝集した高リン酸化型の α-シヌクレイン によって形成されています。

α-シヌクレインは、ドーパミン作動性経路の調節に関与し、種々のアポトーシス刺激に対するニューロンの応答性を低下させ、カスパーゼ3の活性化を抑制します。

α-シヌクレイン 中間体オリゴマー/プロトフィブリルは、主要な神経毒性種(neurotoxicspecies)であると考えられています。

■ α-シヌクレイン と疾患の関連

シヌクレイノパチー(ニューロン、神経線維、グリア細胞におけるタンパク質凝集体)

アルツハイマー病(アミロイド斑)

認知症(レビー小体)

多系統萎縮症(Multiplesystematrophy)(α-シヌクレインタンパク質プリオン)

パーキンソン病(レビー小体)

 


α-シヌクレイン パーキンソン病


当協会でも、これまでに、何度か 認知症と うつと パーキンソン病についてお知らせしてきました。

「うつ病やパーキンソン病との併発が原因の認知症 解決策はある!」

 


国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(理事長 平野俊夫。以下「量研」という。)量子生命科学領域の 藤原 悟 専門業務員、松尾 龍人 主任研究員、河野 史明 研究員、名古屋大学シンクロトロン光研究センターの 杉本 泰伸 准教授、構造生物学研究センターの 成田 哲博准教授、松本 友治 研究員、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(理事長 児玉敏雄)J-PARCセンターの 柴田 薫 常勤特別嘱託らは共同で、脳内に存在する正常なタンパク質「α-シヌクレイン1)」の分子の特定の運動が、パーキンソン病発症のカギとなる「アミロイド線維2)」という異常な塊を作り出す原因となることを突き止めました。中性子準弾性散乱3)装置を用いて「α-シヌクレイン」の運動を分子レベルで調べたところ、線維状の集合は、このタンパク質の折れ曲がり運動と内部の局所的運動が同時に起こることでもたらされることを世界で初めて発見しました。

※ プレスリリース

「Journal of Molecular Biology」2019年6月8日オンライン掲載

 


名古屋大学大学院医学系研究科神経内科学の勝野 雅央教授、服部 誠客員研究員(筆頭著者)、国立長寿医療研究センターの鷲見幸彦病院長らの研究グループは、

難治神経変性疾患の一つである レビー小体病(パーキンソン病(PD)とレビー小体型認知症(DLB)を合わせた疾患概念)を 対象にした臨床研究において、

日本人の一般人口における レビー小体病の前駆症状(prodromal症状)の保有率を明らかにし、

自覚症状を有しない 50歳以上の健診受診者の 5.7%に 2つ以上の前駆症状を有する ハイリスク者が存在することを見出しました。

※ プレスリリース

 


レビー小体病は、αシヌクレインの神経細胞内の蓄積を病理学的な特徴に持つ神経変性疾患であり、

パーキンソン病とレビー小体型認知症を含む疾患概念です。

近年、レビー小体病では神経症状が発症する 10~20年前から

便秘 REM期睡眠行動異常症(RBD)嗅覚低下 などの

前駆症状を呈することが注目されていましたが、

日本人の 一般人口における前駆症状の保有率は 明らかではありませんでした。

勝野教授らの研究チームは、久美愛厚生病院(岐阜県高山市)、だいどうクリニック(愛知県名古屋市)の健診センターと連携し、

これらの施設の健診受診者(年間 12,378名)を対象にした レビー小体病の前駆症状に関する質問紙調査と ハイリスク者のレジストリ(登録システム)構築を目的として、研究を実施しました。

その結果、50歳以上の健診受診者の 5 . 7%が 2つ以上の前駆症状を有するハイリスク者に該当し、

男性のハイリスク者では 貧血やコレステロールに関する採血項目で、

前駆期のレビー小体病患者に類似した 低値を 示すことを明らかにしました。

 

神経症状を有しないハイリスク者を通常診療で 同定することは極めて困難ですが、

本研究の結果から、健康診断制度を活用した レジストリの活用により、

質問紙による簡便な調査で 神経変性疾患のハイリスク者の抽出が可能であることが示されました。

今後、レビー小体病の先制治療を目指した ハイリスク者の臨床研究に着手する予定です。

2020年2月7日 米国科学雑誌「Journal of Neurology」(電子版)掲載

 


近年、認知症の症状として、アルツハイマー型認知症(AD)に続く、

レビー小体型認知症(DLB)の頻度は、

全ての認知症の 10%から30%と報告されています

しかし、病初期にDLBと診断することは難しく、

パーキンソン病やうつ病などと診断されることが多いようです。

また初期症状がADと異なりますので、その対応に戸惑う家族も見られます。

DLBは、レビー小体が大脳や脳幹に蓄積して発症するといわれています。

このレビー小体は、αシヌクレインと言われるたんぱく質で構成されていて、

パーキンソン病(PD)にも関与します。

 

DLBとPDは、症状は異なることが多いのですが、

兄弟関係と言ってよいほど密接に関連しています。

αシヌクレインの異常な蓄積は、腸管の神経叢から始まり、

延髄にある迷走神経背側核から、さらに上層の脳幹部の橋にある青斑核、そして中脳の黒質を経由して、

大脳辺縁系(だいのうへんえいけい)から大脳の表面の新皮質に拡散していきます。

すなわち、αシヌクレインの塊のレビー小体が脳の各部の神経細胞を破壊することで、

脳のさまざまな機能が冒されます。

 

α-シヌクレイン

認知症プロジェクト 長谷川 成人 プロジェクトリーダー
https://www.igakuken.or.jp/project/to-tomin/to-pro07.html

 


レビー小体が大脳の付け根部分の中脳にある黒質に蓄積されると、

黒質にあるドパミン神経細胞が破壊され、PDに発展します。

PDは

安静時の振戦(手などの振え)

動作の開始がスムーズに動けない寡動

関節の動きが悪くなる筋固縮(筋強剛)

を主症状とします。

当初は歩行時のすくみ足(歩行開始時に第一歩を踏み出せない)、

小刻み歩行、

前傾姿勢、

突進歩行など、

歩き方に特徴がみられます。

 

また、顔の表情が仮面様となり、

発音も障害され、

文字が小さくなる書字障害がみられます。

 

一方 DLBは

レビー小体により黒質の細胞も破壊されますが、

パーキンソン症状が出現する前に、

中脳から大脳辺縁系にレビー小体が拡散し、

またアミロイドβ蛋白の増加も加わり、

認知機能低下が最初に現れます。

そして、ほぼ同時か、少し遅れて、

黒質内にレビー小体が増加し、パーキンソン症状が出現します。

すなわち、DLBにパーキンソン症状が見られるのは、

PDと同じメカニズムによると言えます。

 


αシヌクレインは、正常の加齢でも見られ、その量も加齢とともに増加します。

また、ADやパーキンソン症状をきたす 進行性核上麻痺や皮質基底核変性症といった神経疾患でも認められます。

 

大脳皮質のアミロイドβ蛋白の蓄積量と大脳中心部の大脳辺縁系内にαシヌクレインの量が多くなると、

認知機能の低下が促進されると考えられ、この状態でDLBが発症します。

一方、PDの中でも、その進行過程で認知機能が低下し、

認知症を伴う例が 20~30% 見られます。

すなわち、黒質内の神経細胞がレビー小体により破壊され、

パーキンソン症状が出現した後に、

症例によっては、レビー小体が大脳辺縁系に蔓延し、アミロイドβ蛋白の増加も加わり認知症を併発するのです。

 


DLBの経過でADと異なる点は、発症時の症状です。

記憶障害や見当識障害(時間・場所・人物の見当識の障害)などの

認知症特有の症状出現の前に、

夜間睡眠時の悪夢や大声、激しい体動が見られます。

これをレム睡眠行動障害と言います。

夜の睡眠中に、

毎日のように悪夢にうなされ、

大声で叫ぶ、

身体を大きく動かす、

時にはそばに寝ている家族を殴る・蹴るなどの異常な行動をみます。

 


この症状は、AD初期にみられることは稀です。

ADの初期にうつ症状は見られますが、

DLBではその頻度が 約 2倍で(報告では20%から60%と幅広い)、

本症の特徴的な症状に挙げられています。

 

認知機能の障害が明らかになる前に、

気分のふさぎ込み活動性の低下が目立ち、

また、身体のことを過度に心配する心気症状や不安感情も強く表れることがあります。

 

レム睡眠行動障害やうつ症状などの感情障害は、

DLBの前駆症状とも言われ、発症の前兆とも言えます。

 

DLBの初期では、必須症状である認知機能障害が出現します。

記憶障害も見られますが、簡単な認知機能検査では、記憶力が正常範囲に留まることもあります。

むしろ、遂行能力や判断力等の他の認知機能の障害で家庭や職場での作業に混乱をきたす様子が目立ちます。

この初期に、人物や小動物の幻視が出現し、パーキンソン症状も見られます。

尿失禁便秘起立性低血圧などの自立神経症状に伴う失神もよくあります。

また、ごく親しい家族の顔を他人と誤認する 人物誤認もこの時期にみられます。

このように、病初期には、DLBを疑うよりも 本人の精神症状や行動の異常に 家族は驚くようです。

 


DLBの中期になると、

認知機能障害がさらに進行し、

ADのような もの忘れや時間、場所、人物の見当識の障害 が目立ちます。

その頃になると、幻視や人物誤認が被害妄想を生み、

パーキンソン症状も悪化し 転倒が非常に多くなります。

パーキンソン 転倒

さらに進行すると、他者とのコミュニケーションがとても困難になります。

 

また、幻視の訴えは減少し、

むしろパーキンソン症状の悪化により

全身の硬直や歩行障害がひどくなります。

嚥下機能が障害され、誤嚥性肺炎を繰り返し、

末期には、パーキンソン症状により寝たきりとなり、

全身衰弱も加速し、死に至るケースが大半です。

 

先に述べましたが、DLBのごく初期に家族が病気に気づくことは困難でしょう。

しかし、高齢者の夜間の異常行動や うつ状態

時には怒りっぽい、不安な表情は、周囲の人が気づきます。

これらを単なる「寝ぼけ」や「歳のせい」と考えず、

まずはかかりつけ医や 老年期精神障害を専門とする医師に相談してください。

 

医療現場でも、DLBの前駆期や初期に診断することは難しいです。

多くは、「レム睡眠行動障害」「老年期うつ病」と診断し、投薬を開始します。

 

それで改善すればDLBは否定的ですが、

改善しないか、もしくは向精神薬で、身体の動きが悪くなり、

傾眠傾向などの副作用が出現したら DLBを疑うことがあります。

それに幻視やパーキンソン症状などの症状が加われば、

記憶障害が目立たなくとも DLBを念頭に診療を進めます。

 


治療薬としては、ADに用いられるドネペジル塩酸塩が 唯一厚生労働省で認可されています。

その効果もADと同様に、認知症の進行を多少抑制するだけです。

それゆえに、シンチグラフィーを用いて診断を明らかにしても、

根治療法が存在しない現状では、出現する症状への対症療法が中心です。

DLBは、うつ状態、レム睡眠行動障害、幻視、被害妄想、人物誤認などの精神症状、

パーキンソン病にみられる運動障害や自律神経障害による失神などに加えて、

認知機能障害による生活の混乱がみられます。

それゆえに、家族の日常の対応は、ADと異なってきます。

 

精神症状の対応には、向精神薬を用いますが、

厄介なことに副作用が出現しやすいことから慎重な投与が望まれます。

処方された薬の効果や副作用について医師から説明を受けますが、

家族には服薬後の状態についての観察が求められます。

副作用として、眠気、活動性の低下、すぐ横になるなどの過鎮静の状態、

歩行時につまずき転倒が多くなる、身体の動きが悪くなる、また食事の時にむせ込む、

などの日常の変化を観察し、担当医に報告してください。

 


幻視への対応として

幻視に怯える人には、実際に見えているのでなく、

脳の病気からくる幻覚であることを丁寧に説明し、

恐怖感を取り除く努力が重要です。

 

この時期は、まだ認知機能の障害は軽度で、その説明に理解を示すと同時に、

病識のようなもの生まれることが多く、

恐怖感を軽減するのに効果的です。

 

被害妄想や人物誤認症状などの精神症状が

病気によるものと 本人に自覚させることはなかなか困難です。

妄想の内容を否定するよりも、

それが病気の症状の一つであることを説明することで、

多少の不安の解消に役立つことがあります。

家族が、本人の誤った考えを強く否定したり、

責め立てたりすることは、逆効果で、

本人の家族へ不信や攻撃に繋がりますので避けてください。

 

パーキンソン症状の出現で家族が注意することは、

動作開始時や歩行時の転倒です。

症状の進行に伴い、運動機能が徐々に低下し、

やがては車椅子の使用や寝たきりとなりますので、

できるだけ、普段の生活の中で、散歩や体操などに心がけてください。

介護保険サービスのデイサービスや通所リハビリ、マッサージの利用をお勧めします。

 


自律神経系の障害の代表的な症状に、

立ち上がり時の急激な血圧低下(起立性低血圧)によるふらつきや失神、

また足もとがふらつく浮動性めまいが見られます。

これらを予防するには、急激な身体の動きや激しい運動は避けるようにしてください。

 

症状が起こった場合は、何かにつかまり、

しばらく身体を動かさずに静止させることで、多くは数分で治ります。

 

その他に、体温調整がうまくいかず、発汗や寝汗、また手足の冷感がみられます。

 

その場合は、室内の温度調整や入浴などでリラックスさせることも効果的です。

頻尿や尿失禁、便秘も自律神経障害によるもので、

この場合はリハビリパンツの使用や一般的な便秘の対応を心がけてください。

便秘では、腹部を温めながらマッサージすることも効果的です。

 


発症からの余命は、ADよりも短期で、長くて 約 7年と言われています。

末期には、誤嚥から生じる肺炎を繰り返し、

また免疫機能の低下による他の感染症に罹患する機会が多くなります。

食事の摂取も困難となり、全身衰弱をきたし、やがて死に至ります。

DLB は、このように全身の運動機能の低下による衰弱が死に直結することが多いようです。

 

©2022 一般社団法人認知機能改善サポート日本協会

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