〇 脳の熱中症
熱中症といえば気温や湿度が高い環境のなかで、
立ちくらみ、筋肉のこむら返り、体に力が入らない、ぐったりする、
呼びかけへの反応がおかしい、けいれんがある、
まっすぐに走れない・歩けない、体が熱いなど
体の症状を思い浮かべると思います。
実は、体にだけではなく、脳も熱を持ちます。
脳の熱中症は、気温による影響だけでなく、
集中して頭を使う時や、
ストレスがかかる時などは、
脳が「オーバーヒート」してしまいます。
そして、のぼせや 疲労などの症状につながります。
体を動かすと、筋肉が熱を産生し、全身がポカポカと温かくなります。
実は、熱を発するのは筋肉だけではありません。
実は体の中で 最も活発に動き、
最も発熱しやすい部位は 「脳」 です。
脳は、自律神経を通して、筋肉や臓器など
体内のすべての器官の動きをコントロールする 司令塔 です。
自律神経の働きは 生命活動の維持に不可欠なため、
休息することなく 24時間 365日働き続け、常に発熱している状態です。
自律神経に負荷がかかれば、それだけ脳の発熱量も増えていきます。
そこで
脳の熱中症 に注意!
です。
頭蓋骨の中で 大切に守られている 脳は、
外気にさらして 熱を放散させることができません。
特に、視床下部と前帯状回にある 自律神経中枢は、
鼻腔の奥に位置し、脳の深部にあります。
熱を冷ますためには、熱中症にかかった時のように
首やわきの太い血管を冷やして 冷たい血液を循環させましょう。
または 鼻から冷たい空気 を吸い込む方法があります。
発熱が抑えきれないと、頭の中に熱がこもってしまい、
脳が疲れて「オーバーヒート」を起こします。
体温上昇に加え、脳の「オーバーヒート」が原因で
のぼせや 疲労感、頭痛などが生じます。
◆ 脳疲労の原因
自律神経の負荷を増やし、脳を疲れさせてしまう原因は、
大きく分けて 二つあります。
① 環境の要因
暑くなると、体温調節のために 自律神経が酷使され、
脳の温度が 上がりやすくなります。
さらに、感染予防のマスク着用で、
マスクの中で温まった 湿気の多い空気を吸ってしまうため、
脳に熱がこもったまま冷えにくくなります。
つまり、脳の発熱を抑えられない場合です。
② 自律神経中枢の消耗
悩みや不安による 精神的なストレス や、
過労や肉体疲労による 身体的なストレス が増すと、
自律神経中枢の負荷が大きくなることから、脳が発熱しやすくなります。
脳は 体のすべての器官の動きを司っているので、
脳がオーバーヒートして働きが鈍くなると、体内のコントロールが乱れます。
体温や心拍、呼吸、血圧の調節などがうまくいかなくなれば、
体のあらゆる臓器の働きが低下するため、
頭痛や発熱、だるさ、めまいなど、体に不調が表れます。
集中力の低下にもつながり、パフォーマンスが低下します。
体を安定した状態に戻そうと、
自律神経中枢に負荷がかかり続けることになるので、
脳のオーバーヒートが悪化して、
さらに脳が疲労するという悪循環が生まれるのです。
◆ 脳の熱中症 を防ぐ 脳にとって 快適な環境
脳のオーバーヒートを予防する上で最も大切なのは、
自律神経に負荷をかけすぎない ことです。
暑い季節は、脳に合わせた環境づくりも重要です。
脳にとっての 最適温度、
つまり脳の負荷にならずに機能を発揮しやすい
室内環境は 22~24度 といわれています。
「少し涼しい」くらいの温度が理想的です。
電気代の節約を目的とした 省エネ推奨温度は 28度とされていますが、
脳にとっていい環境とはいえません。
室温と作業効率を調べる研究では、気温が25度以上になると、
1度 上がるごとに パフォーマンスが 2%下がる という報告もあります。
暑くなり始めると 脱水症状を起こしやすくなります。
水分の補給をおろそかにすると、
血液の流れが悪くなって 体に熱がこもりやすくなり、
熱中症や 脳梗塞などを引き起こす リスクが高まります。
長時間 同じ姿勢を続けると、血液の流れが悪くなり、
自律神経に 負荷がかかります。
1時間に 1回程度は 動くようにしましょう。
水分をこまめに補給して 血液の流れを促進し、
いつもよりトイレに行く頻度を上げて
立ち上がる機会を増やすことは、
脳のためにも いい方法です。
身体的な疲れを感じるような激しい運動は、
自律神経を酷使することになるため、
脳のオーバーヒート対策という観点では逆効果です。
軽いストレッチや、心臓に負荷がかからない程度の筋トレをしましょう。
散歩は気分転換にもなり、
脚の筋肉を動かすことで 血流が良くなるため、
脳に酸素と栄養がきちんと供給され、
自律神経のバランスを維持しやすくなります。
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