〇 高齢者に必要な1日の水分量
高齢者に必要な1日の水分量 はどのくらいの量でしょうか?
失われる水分量(排出量)= 取り入れる水分量(摂取量)
ということはわかります。
◆ 1日に排泄される水分量
排泄される水分は「尿」「便」「不感蒸泄(ふかんじょうせつ)」です。
その総量は 1日に 2,400 ~ 2,800ml です。
・ 尿 : 1日に排泄される 尿量は 約 1,500ml
腎臓は、多くの水分を摂取したときは 尿量を増やします。
水分が不足してくると 尿量を減らします。
そうすることで 体内の水分量を 一定に保っています。
・ 便 : 便には 水分が 200 ~ 300ml 含まれています。
体内の水分が不足すると 便にまで水分が行きわたらず、
硬い便となってしまいます。
便秘には水分をしっかり摂ることが特効薬となります。
・ 不感蒸泄 : 皮膚や粘膜、呼吸から蒸発する水分で、1日に 700 ~ 1,000ml 排泄されます。
体温を調整している重要な機能となり、水分が不足すると熱を放出できなくなります。
熱中症は体温を調節する水分が足りなくなることで、体温が急激に上昇して起こります。
排泄される水分量は合計2,400~2,800mlです。
この失われた分を体内に取り込まなくてはなりません。
では、どのくらいの水分量をどうやって摂取していけばいいのでしょうか?
◆ 1日に摂取すべき水分量
排出された1日の水分量 2,400~2,800ml の 水分摂取が必要です。
・ 食事 : 700~1,000ml程度
食事には多くの水分が含まれています。
ご飯やサラダ、煮物や炒め物など、あらゆる食事から日々、水分を吸収しています。
食事から摂れる水分量は700~1,000ml程度になります。
朝食を食べない習慣がある人や、夏場などで食欲が低下した場合は、
食事から摂れる水分量が低下するため、注意が必要です。
・ 代謝水 : 200~300ml
代謝水は燃焼水とも呼ばれています。
食事などから摂った栄養素を分解してエネルギーに変えるときに化学反応で水分が作られます。
これが「代謝水(燃焼水)」といわれるもので、200~300mlとなります。
・ 飲水 : 1,500ml
食事で700~1,000ml、代謝水で200~300mlの水分を摂ることができます。
残りの不足した水分1,500mlは飲水として摂取します。
注意すべき点は食事として摂る水分と分けて計量することです。
例えば味噌汁やスープは「飲水」としての水分に含まず、食事から摂る水分として軽量し、
コップで飲む水分を飲水量として捉えていきます。
◆ 認知症の予防・改善に必要な水分量
気温が上昇する夏や暖房を使う冬は、想像以上に水分が必要です。
特に高齢者は体内水分量が少ないため、1日を通して小まめに水分補給をしましょう。
体型や活動量、季節、疾患などによって水分の必要量は変わりますが、
1,500mlを目安に、高齢者自身が一番元気でいられる水分量を見極めることが大切です。
人によっては 2,000ml 以上の水分を必要とする場合も少なくありません。
認知症の方は水分不足をきっかけに徘徊やイライラなどの 症状が出やすくなります。
積極的に水分を摂りましょう。
水を飲むことで、認知症の症状を落ち着かせる解決策にもなります。
〇 認知症高齢者が熱中症になりやすい理由
特に認知症高齢者が熱中症になりやすい理由があります。
① 今の季節がわからなくなる
認知症の中核症状の一つに「見当識障害」があります。
時間→場所→人間関係の順番でわからなくなっていきます。
今の季節が夏なのか、今の時間帯は昼なのか夜なのか、ということがわからなくなります。
そのため、季節や時間帯に合わせた服装をすることができなくなります。
② 暑さが判断できなくなる
認知症による判断力低下により、暑さや寒さを判断できなくなります。
「暑いから水分を補給しよう」「室温を下げることが必要」といった判断が思いつかなります。
③ 水分補給の管理ができなくなる
「暑いから水を飲んでくださいね」と言われても、
認知症の中核症状の一つ「失行(しっこう)」により、
運動機能障害がないにもかかわらず「水を飲む」という動作ができなくなります。
認知症高齢者はこれらの理由により、熱中症のリスクが上がってしまいます。
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