〇 インフルエンザ変異株 サブクレードK

いよいよ冬本番。今年は早い時期から インフルエンザが流行しています。

特に、今シーズンは、インフルエンザ A型(H3N2、香港型)の変異株の一つである

インフルエンザ変異株 サブクレードK が世界的に流行の主流となる可能性が指摘されており、

例年以上に注意が必要です。

厚生労働省 健康・⽣活衛⽣局 感染症対策部 感染症対策 資料
新型インフルエンザ等対策推進会議(第20回) 令和7年12月1日

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/taisakusuisin/dai20_2025/gijisidai_6.pdf

 

今回は、この サブクレード K の最新の発生状況と特徴的な症状、

そして 認知症の患者さんとご家族が 特に注意すべき点をまとめてお伝えします。


1. サブクレードK とは何か? 最新の発生状況は?

サブクレードK は、季節性インフルエンザとして知られる

A型(H3N2)ウイルスの一部の系統です。

• 免疫からの逃避: ウイルスの表面に変異が起こり、従来のワクチンや

過去の感染で獲得した免疫が効きにくくなっている可能性が指摘されています。

• 重症化のリスク: A型(H3N2)は、一般的に高齢者や基礎疾患を持つ方で

重症化しやすい傾向があるため、この変異株の流行が懸念されています。

 

最新の流行状況

• 日本を含む各国で早期流行: 英国や日本など、北半球のいくつかの地域で、

例年より早い時期からインフルエンザの患者数が急増しており、

このサブクレードKが流行の中心となっていると報告されています。

• H3N2株が優勢: 現在、検出されているインフルエンザウイルスの中では、

サブクレードKを含むH3N2型が優勢な状況です。

 


2. サブクレードK の特徴的な症状と注意点

サブクレードKを含むH3N2型インフルエンザの症状は、

従来のインフルエンザと同様に高熱、咳、のどの痛み、倦怠感などが主です。

しかし、今年は症状の傾向に以下の様な特徴が見られるという報告があります。

 

インフルエンザ変異株 サブクレードK

【ご家族へ】

「関節が痛くない」 「普通の風邪のようだ」 と自己判断せず、

高熱(38℃以上)と 咳・鼻水が セットで出た場合は、速やかに医療機関に連絡してください。

 


3. 認知症の患者さんが特に注意すべき3つのポイント

認知症の患者さんにとって、インフルエンザ感染は

「認知機能の急激な悪化」や「重症化」につながる大きなリスクです。

改めて以下の点に特に注意してください。

 

ポイント1 : 症状に気づきにくい・伝えられないリスク

• 発熱以外の変化に注意 :  いつもよりぼんやりしている、食欲がない、

水を飲む量が減った、急に不穏になったり興奮したりするなど、

普段と違う行動は体調不良のサインかもしれません。

• 体温測定の習慣化 :  毎日決まった時間に体温を測り、

微熱でも見逃さないように記録しましょう。

 

ポイント2 : インフルエンザと認知症の悪循環を防ぐ

• 予防接種の最優先: 変異株であっても、ワクチンは重症化を防ぐ効果が期待できます。

主治医と相談し、必ず接種しましょう。

• 徹底した感染対策の介助: マスク着用、手洗い、うがいを家族や介護者が声がけし、

そばで実行をサポートしてください。

• 乾燥を防ぐ: 適切な湿度(40〜60%)を保ち、粘膜のバリア機能を維持しましょう。

 

ポイント3 : 早めの受診と迅速な診断・治療

• 「おかしい」と思ったらすぐ相談: 普段と違う様子が見られたら、

「様子を見よう」とせず、すぐに主治医やかかりつけ医に連絡し、

受診の指示を仰いでください。

• 受診時の情報共有 :

受診する際は、「いつから、どのような変化があったか」を具体的に医師に伝えられるよう、

メモを持っていくと良いでしょう。

 


4. ご家族・介護者のためのストレスケア

インフルエンザ流行期は、感染対策と体調変化の見守りで、ご家族の負担が増大しがちです。

ご自身の心身の健康を保つことも、大切な介護の一つです。

◇ 完璧を目指さない
手洗いやうがい、服薬など、患者さんに対して完璧なケアができなくても責めないでください。

「できる範囲でやっている」と自分を肯定することが大切です。

◇ 定期的に「小休憩」を取る
短い時間でも、介護から完全に離れる時間を作りましょう。

10分間の深呼吸、好きな音楽を聴く、温かい飲み物をゆっくり飲むだけでも気分転換になります。

◇ 孤立しない
不安や疲れは、一人で抱え込まずに、地域の相談窓口、介護サービスの担当者、

または信頼できる友人・親戚に話しましょう。

行政や専門家のサービスを積極的に頼ることが、ご家族と患者さんを守ります。

◇ 質の良い睡眠を確保
睡眠不足は免疫力を低下させ、インフルエンザにかかりやすくなります。

患者さんの夜間のケアが難しい場合は、一時的にショートステイなどの利用を検討するなど、

ご自身の睡眠を最優先に確保してください。

ご家族や介護者の方も、ご自身の体調管理を徹底することが、

患者さんを守ることにつながります。

今シーズンも、ご一緒に体調に気を付けて乗り切りましょう。

 


インフルエンザ変異株 サブクレードK の急速な流行について分かりやすく説明しておられる

一之江駅前ひまわり医院(内科・皮膚科)のサイトです。

https://soujinkai.or.jp/himawariNaiHifu/influenza-subclade-k/

サブクレードK の流行のスピードの秘密は ウイルスの表面にある「トゲ」の変化にあります。

インフルエンザウイルスの表面には「ヘマグルチニン(HA)」というタンパク質がありますが、

サブクレードK はこの部分に多くの変異(アミノ酸の置き換わり)を起こしているのが原因です。

特に注目すべきは 「免疫からの逃避能力」を獲得している点です。

144番目のアミノ酸が変化したこと(S144N変異)で、ウイルスの表面に新たな「糖の鎖」がくっつくようになりました。

これを「グライカン・シールド(糖鎖の盾)」と呼びます。

つまり、ウイルスが自分自身の表面を「糖」でコーティングして変装してしまったような状態です。

この変装した「糖」が、私たちの体が過去の感染やワクチンで獲得した抗体(攻撃部隊)が、

ウイルスを敵だと認識しづらくなったり、攻撃しにくくなったりします。

これを「抗原ドリフト」と呼びます。

この変化が 今の早期流行を引き起こしている主要な要因ではないかと目されています。

※ 参考
Eurosurveillance の論文
(感染症の疫学、サーベイランス(監視)、予防、および管理を専門とする、ヨーロッパを代表する査読付き医学・科学ジャーナル)

https://www.eurosurveillance.org/content/10.2807/1560-7917.ES.2025.30.46.2500854#html_fulltext

 


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