冬に注意すべきこと についてお知らせします。

この夏の猛暑は高齢者にとって厳しいものでしたが、この冬も厳しい寒さが予想されています。
各地で、十年ぶり、数十年ぶりの寒気到来で、雪や寒さによって死亡を伴う事故が多発しています。

加齢に伴い体温の調節機能が衰え、血流が悪くなりやすくなるため、高齢者には寒さが堪えます。
冬は湿度が低く、空気も乾燥し、それに伴う危険も潜んでいます。

冬に注意すべきこと として、以下の点について、本人も家族も注意してください。

〇 冬に注意すべきこと

① 冷え性

手足の冷え性は、加齢による自律神経の衰えから生じます。
食欲が落ち、栄養状態が悪くなるとさらに悪化します。
いつも以上に、こまめな室温管理をし、入浴はゆっくりとリラックスした状態で、適度な運動や外気浴、日光浴、温かな食事などを心掛けるようにしましょう。
暖かい素材の下着や洋服、重ね着、厚めの靴下なども有効です。

② 脱水症状

夏でなくても脱水症状は起きます。
冬は乾燥により、身体からの水分放出が多くなるからです。
口の中や肌の乾燥を感じたら、こまめに水分補給を心掛けましょう。
加湿器の使用による湿度管理もお忘れなく。

③ 皮膚疾患

乾燥からくる皮膚疾患である「老人性乾皮症」や「皮膚掻痒症」は冬によくみられる疾患です。
入浴後や就寝前の乳液などによるスキンケアで保湿を心掛け、肌の乾燥を防ぎましょう。

④ 窒息事故

冬はお餅を食べる機会も多くなります。お餅だけでなく、高齢者は咀嚼や嚥下力の低下により、食べ物を詰まらせ、窒息するリスクもあります。
食材を小さめに刻むなどの工夫をすることも大切です。

⑤ 低体温症

長時間寒い場所にいると体温が低下し、発症するのが低体温症です。
低体温の状態が続くと、場合によっては意識の消失に繋がり、死に至ることもあります。
高齢者は寒さを我慢し、暖房機器に頼らないケースも多いようです。
ご自身での管理が難しい場合は、同居家族やヘルパーさんのお願いし、
タイマーを設定した暖房機器を使用しましょう。
こまめな室温管理に留意することが必要です。

⑥ ヒートショック

冬はトイレや浴室における高齢者の事故が多くなります。
その多くは「ヒートショック」で、暖かい室内と寒い場所との温度の急激な変化による心身のストレスがもたらすと言われています。
急激な温度変化による血圧の乱高下から脳梗塞、心筋梗塞や不整脈などが起き、それに伴う転倒や、湯船で溺れてしまう危険もあります。

⑦ 火災

特に独居の高齢者に用心してほしいのが火災です。
ストーブやガスコンロを使う機会が増える冬。
リスクが高まってきていると感じてきたら、エアコンやIH調理器への使用への切り替えを考える時期かもしれません。


〇 ヒートショックに注意

冬に注意すべきこと ヒートショック

冬は外気温が下がり寒さが強まります。
室内は暖房設備を使いますが、浴室や脱衣所の室温は暖房設備で温まった部屋より寒いことが多いでしょう。

人の体は体温を一定に保つために体温調節を行っています。
しかし、寒い場所に移動して寒く感じられた際は、寒さに対応するために血管を縮めて、
血管内を流れる血液を減らすことにより、できるだけ熱が体外へ逃げないようにします。
血管が縮んで細くなると、細くなった血管に血液を流すために心臓は大きな力が必要となり、心臓に負担がかかり血圧が上昇します。

暖房の効いた部屋から脱衣所に移動すると10℃以上の温度差があり血圧が上昇します。

浴室に入ると脱衣所より更に寒く血圧が更に上昇し、浴槽に体を入れた瞬間との温度差は25℃以上にもなり、血管が広がり血圧が低下します。
この血圧の変化が原因と考えられる入浴中の心肺機能停止は12月から1月の寒い時期を中心に発生し、夏の時期は減少しています。

年齢別の心肺機能停止件数は年齢が高くなるにつれて増加します。
80歳以上は65歳~69歳と比較して、男性は約6倍。女性が約11倍となっています。
高齢者になるほどヒートショックの発生リスクが高くなります。

室内の温度差がヒートショックの大きな要因となることから、
世界保険機構は2018年に冬の室内最低温度を18℃以上にすることを勧告しました。

小さい子どもや高齢者に対してはさらに暖かくするように求めています。

また、国土交通省が2014年度から実施している断熱改修等による居住者の健康への影響調査によると、
室温が低い居住者や部屋間の温度差が大きい居住者の血圧が高く、
室温が年間を通じて安定している居住者の血圧は低く季節差が小さいことが確認されました。

このため、国土交通省も国民の健康確保のために断熱住宅の普及を推進しています。


〇 ヒートショックを防ぐ方法

東京消防庁の調査によると、令和元年度中に「おぼれる」事故で救急搬送された都内の高齢者の人数は520人で、
中でも12月から2月の冬場の搬送者が276人と、全体の半数以上を占めています。

事故の発生場所については、約9割が家の中の浴槽でした。

東京消防庁 ヒートショックに注意しましょう

① リビングなどとの温度差を小さくするため、入浴中以外はお風呂の扉を開けておくことや、トイレも使用中以外は開けておくことを推奨します。

② 家族と同居している人は、万が一に備え、お風呂に入る際には家族に一声かけてください。

③ 温かい部屋と脱衣所の温度差は5℃以内が望ましいと言われていますので、入浴前に脱衣所や浴室に暖房器具を置いて室温を上げておきましょう。
入浴前に浴槽のふたをはずしておいたり、シャワーで湯気を充満させて浴室内を温めておくことも有効です。

④ 湯船の温度は41℃以下にしましょう。
湯船の温度を42℃以上にすると自律神経が刺激されて血圧が上がり脈が早くなり、10分以上浸かると脱水症状を起こす危険があります。
このため、湯船の設定温度を41℃以下に設定し、10分程度浸かって体の芯から温まるようにして、リラックスできるようにしましょう。

⑤ いきなり湯船に入るのは急激な血圧の変化を招きますので、必ずかけ湯をしましょう。
心臓から離れた足先から徐々に心臓に近づくようにお湯をかけることで心臓への負担を減らし血圧の急激な変化を防ぐことができます。
首までお湯に浸かると心臓に負担をかけますので胸のラインぐらいが良いでしょう。

⑥ お湯に浸かっているときは体が温められ血管が広がり血圧が低下しています。
湯船から急に立ち上がると脳まで血液を運ぶことができず、めまいを起こしたり、失神することがあります。
湯船から出るときはゆっくりと立ち上がることを心がけましょう。

⑦ 入浴すると汗をかき脱水状態になります。
入浴前後に300ml程度の水分を摂るようにしましょう。

⑧ 食事をすると消化のために血液が胃腸に集まり、脳への血流が低下し、食後低血圧を起こしやすくなります。
特に高齢者は自律神経系が衰えているため、食後低血圧を起こしやすくなりますので食後1時間以内の入浴は注意が必要です。
飲酒した直後に入浴すると、体が温まることで血液の循環が良くなり、大量の血液が全身に送られ脳や心臓の血流が減少し、
不整脈や心臓発作などを引き起こす可能性がありますので飲酒後の入浴は避けましょう。


〇 高齢者がかかりやすい冬期に流行る感染症

2019年に中国武漢から発生した新型コロナウイルスの感染は、3年を過ぎても、なかなか終息が見えません。
この冬は、特にインフルエンザに加えコロナウイルスの同時流行が懸念されており、
高齢者は症状が重症化しやすいので、より一層の対策が必要です。

これらのウイルスは空気の乾燥や低温に強く、冬は呼吸器系のウイルスが流行る条件が整っています。
一方、人も体が冬の気温・湿度に追いつかず免疫が下がりやすく、感染しやすい状態となります。

体温が1℃低下すると人の免疫力が30%低下すると言われており、
気温の低下に伴い体温が低下、基礎代謝が低下すると感染しやすい状態になります。

冬期に流行る様々な感染症の中でも、高齢者がかりやすい感染症は以下のようなものが挙げられます。

・ インフルエンザ

感染源:感染者への接触感染や飛沫感染
症状:発熱(38度以上)、筋肉痛、咽頭痛、頭痛、全身倦怠感、咳、鼻水
インフルエンザに感染すると、1~3日の潜伏期間後に発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、倦怠感などが突然あらわれ、のどの痛み、咳、鼻水などがこれに続きます。
通常の風邪に比べて、全身症状が強いのが特徴です。

・ ノロウイルス

感染源:感染者の汚物による接触感染や飛沫感染
ウイルスに汚染された二枚貝(牡蠣等)の食べ物からの感染
症状:嘔吐、腹痛、下痢、発熱
潜伏期間は1~2日です。
突然の嘔吐、下痢、発熱を起こして通常3日程度で回復しますが、高齢者や乳幼児は重症化することがあります。
感染力が非常に強く、感染者の嘔吐物や下痢便の処理の際は、マスクと手袋を着用するなどの注意が必要です。
処理後は流水と石鹸でしっかりと手を洗い、手指の消毒を行いましょう。

・ RSウイルス感染症

感染源:感染者への接触感染や飛沫感染
症状:鼻水、発熱(微熱が多い)その後咳が出てきます。
咳症状が数日続き、その後は回復していきます。
潜伏期間は3~5日となり、通常は数日~1週間で軽快します。
大人の場合、免疫を持っているため軽い症状で治まりますが、
まれに気管支炎や肺炎など重症化することがあります。

・ 肺炎

感染源:飛沫感染
症状:咳、痰、のどがごろごろする、悪寒、発熱(高熱)、呼吸困難、胸痛
微熱があり、なんとなく体調が良くないというだけで肺炎であることもあります。
インフルエンザによる肺炎の潜伏期間は、一般的に1日~2日程度です。
肺炎球菌による肺炎の潜伏期間は1~3日、SARS(サーズ)による肺炎の潜伏期間は2日~10日、マイコプラズマ肺炎の潜伏期間は2~3週間です。
肺炎の潜伏期間は、1日~2日程度のものから長ければ3週間程度と肺炎を発症するまでの潜伏期間にはかなりの差があります。
高齢者の肺炎は進行が早い事がありますので、早期の受診で重症化を予防しましょう。

・ 尿路感染症

感染源:細菌(大腸菌、腸球菌、・・etc.)、ウイルス、真菌、寄生虫など
症状:重篤感が強く、38℃以上の高熱と腰痛、膀胱炎、排尿時の痛みや違和感、頻尿・血尿
尿路(尿の通り道)における感染症の病気です。
高熱を伴なうため、老人は脱水による意識障害が見られることもあります。
尿路感染症は再発・再燃を繰り返し、難治性で慢性に経過することが多く、完全に治すことが大切です。
症状が改善したからといって、自己判断で治療をやめないようにしましょう。

・ 結核

感染源:飛沫感染、空気感染
症状:たんと咳、ときに血たん・喀血、発熱、寝汗、倦怠感、体重減少
初期症状は、風邪のような症状です。
2週間以上風症状が継続したり、1週間以上長引く咳や、
風邪症状が良くなったり、悪くなったりを繰り返すようなら医療機関を受診しましょう。

高齢者にとって寒い季節は様々なトラブルが起こりやすい危険な季節です。

感染症の予防に手洗い・うがい・咳エチケットはもちろんのこと、室温や湿度等の環境や免疫力を高めることが重要です。

なにより、感染しやすい場所に行かない等の対策も必要となってきます。

それぞれのトラブルを起こさないように未然に防いでいくことが健康と安全を守っていくことに繋がります。

新型コロナウイルス感染症の感染がまだまだ拡大する可能性のある状況ですので、特に高齢者の方は感染予防を心掛けてください。
介護をされている方は、感染予防に神経質になることもあるでしょう。
やみくもに警戒しすぎると追い詰められてしまいますので、介護の負担が増えすぎない程度に感染対策を行いましょう。

ウイルスを家の中に持ち込まないようにすることを意識しつつ、
利用している介護サービスがありましたら、どのような感染予防対策をしているのか、
直接事業者に聞くか、ケアマネジャーに確認してみるのも良いでしょう。


〇 冬の脱水症状に注意

冬は「体が冷える」「トイレが近くなる」という理由から、水分を取りたがらない人がいます。
水分を効果的に取る方法をご案内いたします。

・ マイボトル活用し摂取量把握を
夏は口の渇きを感じた時、冷たい飲み物をごくごく飲みますね。
しかし、冬はそうはいきません。
温かい飲み物をごくごくと飲むのも難しいでしょう。

冬は乾燥に加え、夏に比べて水分を取る量も減りがちです。
そこで、意識してこまめに水分を補給することが欠かせません。
特に水分摂取が必要なのは入浴の前後や就寝前、起床後です。
入浴すると汗をかき、就寝中にも体の水分が失われるからです。
飲み物から取ることが必要な1日の水分量は、年齢や季節によって違います。

65歳以上の場合
冬は体重1キロ当たり25ミリリットル
夏は1キロ当たり30ミリリットル です。
体重50キロの方は、冬は1・25リットルになります。

水分をどのくらい取ったか簡単に把握するには、マイボトルが役立ちます。
ステンレス製の水筒がないなら、空のペットボトルで十分です。
ただ、500ミリリットルだと、飲み干すのが大変かもしれません。
お勧めは小ぶりな250~300ミリリットルのペットボトルです。
飲み干したという達成感が味わえるので、水分補給に前向きになれます。
1本の量が少ない分は、飲む回数を増やすことで対応します。
テーブルの上など目に付くところに置くと、自然と手に取る機会が増えるでしょう。

・ 水の代わりに、白湯(さゆ)やお茶、ミルク

水の代わりに、白湯(さゆ)など温かい物を飲むのも良い方法です。
体を温めながら水分を補うことができます。
例えば1本目を白湯にしたら、2本目はお茶、3本目は水というように、好みに合わせたり味を変えたりすると水分補給が進むでしょう。
ホットミルクはタンパク質を取ることができます。
みそ汁や昆布茶は塩分も補給できますが、取り過ぎないように注意が必要です。

特系霊芝に加え、5種類の材料を厳選・ブレンド健康茶の 麗姿茶 もおすすめです。

カフェインを含むコーヒーや紅茶、ビールなどのアルコール類は利尿作用があるため、水分補給には適しません。

・ 食べ物から水分を取る

食べ物から水分を取ることも考えましょう。
水分量の多い旬のミカンやイチゴ、ダイコン、ハクサイなどはお勧めです。
スープや鍋料理、おでんなども水分補給ができます。

冬に多いノロウイルスやロタウイルスといった感染性胃腸炎などでは、嘔吐や下痢を伴う症状がみられます。
体内の水分が多く失われ、塩分のナトリウムなど電解質の補給も大切です。

こうした時には、スポーツドリンクなど電解質も取れる飲み物が適しています。
袋入りの粉末タイプだと保管場所を取らず、夏の水分補給にも利用できるため、常備しておくことをお勧めします。

 


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