2026年5月に 『認知症疾患診療ガイドライン2026』 が発刊されます。

2017年から 9年ぶりの改訂 となります。

『認知症疾患診療ガイドライン』は、認知症の診断、治療、ケアに関する

最新の科学的根拠(エビデンス)に基づき、

医師や医療従事者向けに最適な診療方針を提示した指針です。

アルツハイマー型やレビー小体型など、

疾患ごとの診断基準や薬物療法、生活機能の維持に向けた

包括的なアプローチを専門学会が定めています。

『認知症疾患診療ガイドライン』の発行元は、厚生労働省ではなく、

日本神経学会をはじめとする国内の主要な専門学会です。

具体的には、以下の6学会が合同で作成・編集を行っています。

日本神経学会(中心となる学会)
日本精神神経学会
日本老年医学会
日本老年精神医学会
日本認知症学会
日本神経治療学会

厚生労働省は、認知症施策の推進(オレンジプランなど)や、

介護保険制度の運用といった「行政的な方針や仕組み」を定めます。

専門学会では、科学的根拠に基づいた

具体的な診断基準や治療方法の指針(ガイドライン)」を作成しています。


ガイドラインの概要と目的

定義 : 認知症に対する適切な診療の基準を提示し、診療の質の向上と平準化を目指す文書。

内容 : 認知症の評価・診断、治療・ケア(薬物療法・非薬物療法)に関する
推奨レベル(推奨する・しない)が記載されています。

作成主体 : 日本神経学会など関連する複数の学会が合同で作成・改訂しています。

改訂 : 医療技術の進歩に合わせて改訂が進められており、
アルツハイマー病の新たな治療薬(疾患修飾薬)を見据えた改訂作業も行われています。

ガイドラインにおける主な診療内容

診断 : アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症など、
原因疾患に応じた適切な診断基準が提示されています。

治療 : 薬物療法(アルツハイマー型への認知症治療薬など)や、
必要に応じた抗パーキンソン病薬の併用などが推奨されています。

ケア・サポート : 薬物療法だけでなく、本人や家族の意思を尊重した生活支援、
非薬物療法を含む総合的なアプローチが重視されています。

※ 最新版の「認知症疾患診療ガイドライン」は、
関連学会のウェブサイトや「Mindsガイドラインライブラリ」などで公開されています。

 

2026年版のガイドラインにおいて、学術的にも臨床的にも最も大きな変更点となるのが、

「アルツハイマー病連続体(Alzheimer’s Disease Continuum)」という

新概念の導入・明記です。

これまで、アルツハイマー病は

「物忘れなどの認知機能障害が現れてから診断される病気」でした。

しかし最新の医学では、アルツハイマー病は発症の10〜20年も前から

脳内で静かに進行している「連続したプロセス」であることが分かっています。

ガイドラインでは、このプロセスを以下の3つのフェーズで定義しています。

プレクリニカル期(Preclinical AD)

脳内にアミロイドβの蓄積が始まっているものの、物忘れなどの認知機能障害は全くなく、
自覚症状もない無症候の段階。

MCI(軽度認知障害)期(MCI due to AD)

年齢相応以上の物忘れなどの認知機能低下は見られるが、日常生活の自立は保たれている状態。

認知症期(AD Dementia)

認知機能障害が進行し、金銭管理や服薬管理など、

日常生活に支障をきたすようになった状態(軽度・中等度・重度に分かれる)。

「認知症疾患診療ガイドライン」の主な対象は、「医師」を中心とした医療従事者です。

具体的には、以下のような人たちが活用することを想定して作られています。

1. 医師(専門医からかかりつけ医まで)

一番の対象です。認知症の診断(どのタイプの認知症か)や、薬の処方、

リハビリの指示などを、最新の科学的根拠に基づいて正しく判断するための
「教科書」のような役割を果たします。

2. 医療専門職(看護師、薬剤師、心理士など)

病院や診療所で働く専門スタッフが、患者さんの症状(徘徊や幻覚など)への

対応策を検討したり、薬の副作用をチェックしたりする際の基準として参照します。

3. 研究者

新しい治療法や診断技術を研究する際、現在の「標準的な治療」が

どう定義されているかを確認するために使います。

専門用語が多く内容も高度なため、一般の方がそのまま読みこなすのは

少し難しいかもしれません。

しかし、以下のような役割で患者さん・ご家族にとっても重要な意味を持ちます。

治療の納得感 : 「なぜこの薬が出るのか」「なぜこの検査が必要か」を医師が説明する際、このガイドラインが根拠となります。

公平な医療 : どの病院へ行っても、ガイドラインがあることで、標準的で質の高い医療を受けられるようになります。

もし、ご家族のケアや日常生活での対応について「一般の方向けに分かりやすくまとめられた指針」をお探しであれば、

厚生労働省や自治体が発行している「認知症ケアパス」や「ガイドブック」なども役立つかもしれません。

「もしも」 : 認知症の本人や家族の声をもとに、絶望から希望へ変えるヒントをまとめた冊子です。
https://www.mhlw.go.jp/content/000521120.pdf

「若年性認知症支援ガイドブック」 : 働き盛りで発症する若年性認知症に特化した、支援制度や相談先をまとめたガイドです。
https://www.mhlw.go.jp/content/guidebook_2020.pdf

「MCIハンドブック」: 認知症の前段階とされるMCI(軽度認知障害)について、予防や生活の工夫を解説しています。
・ https://www.mhlw.go.jp/content/001100282.pdf


参考 : m3.com <エムスリー> 臨床ニュース

「認知症疾患ガイドラインが9年ぶり改訂【時流◆認知症疾患診療ガイドライン】」
2026年3月3日 時流

https://www.m3.com/clinical/open/news/1323234

 

『認知症疾患診療ガイドライン2026』

 

『認知症疾患診療ガイドライン2026』 で特筆すべきは、

発症までの20年を含めた認知症の症状の変化を アルツハイマー病連続体 という言葉で表現していることです。

森教授は、『認知症疾患診療ガイドライン』 作成委員長 和田健二氏(川崎医科大学高齢者医療センター教授)の

この概念を、認知症に対する正しい理解として、非常に喜ばしいことであると語りました。

「認知症と微小循環」
https://www.youtube.com/watch?v=GXoRAXqeMWQ

「アルツハイマー病連続体という概念について」
https://www.youtube.com/watch?v=FSbW6ehsQz4

 

また、認知症に「予防」はないという考えも、

森教授が常におっしゃっていることです。

今回のガイドラインでは認知症「予防」という言葉を外し、

「リスク低減(risk reduction)」という表現が使われています。

 

『認知症疾患診療ガイドライン』 作成委員長 和田健二氏は、

以下のように、その理由を語っています。

「認知症はある程度、加齢とともに増えてしまうものです。

認知症のrisk reductionは他の疾患のrisk reductionにもつながりますからより長寿になり、

行き着く先にはいずれ認知機能の低下が出てきます。

認知症領域でいう「予防」とは病気にならないことではなく、

本格的な認知症の症状が出るのを遅らせる、重症化を遅らせるという意味なのですね。

そうすると、感染症領域などで用いる「予防」とは、言葉の意味が異なってしまいます。」

認知症をはじめガンも、早期発見・早期治療を目指していますが、

森教授が提言する「自身の体を正常に戻す『康復医学』」が、尤も重要な考え方と言えるでしょう。

—–

厚労省が発行している「かかりつけ医・認知症サポート医のためのBPSDに対応する 向精神薬使用ガイドライン」では、

認知症の周辺症状(認知症による様々な種類の行動・心理症状)BPSD(behavioral and psychological symptoms of dementia)対応に、

向精神薬の使用について記載されています。

「かかりつけ医・認知症サポート医のためのBPSDに対応する 向精神薬使用ガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/content/001518446.pdf

向精神薬(抗精神病薬や抗不安薬など)には、副作用や弊害のリスクがあるため、慎重な検討が必要です。

厚生労働省のガイドラインも、実は「積極的に使いましょう」と推奨しているわけではなく、むしろ「安易な使用を戒める」スタンスで書かれています。

まずは、非薬物療法(薬を使わない対応)で対応を行い、向精神薬は「最後の手段」かつ「一時的」と考えて使用してください。

 


 

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